こんにちはさんとうきんです。今回はCCSは現実的なのかについてをやっていきたいと思います。自分は電験二種を保有しており省エネにも携わった経験を元にやっていきたいと思います。
詳細はYouTubeでやっているので良かったらご覧ください。
CCSとはCarbon dioxide Capture and Storageで火力発電の二酸化炭素を地中に蓄える仕組みで、蓄えずに利用するだけだったり、蓄えて利用したりでCCUSやCCUなどがありますが火力の二酸化炭素を大気中に放出する量を減らすための技術です。この技術がどれだけポテンシャルがあるのか調べていきたいと思います。電験でも今後新技術について出題されると思うので良かったらご覧ください。
結論からいうとCCSはいくらかは普及するけれども今でいうと地熱的な地味なポジションになる感じがしました。理由としては今の段階で世界で一機しか稼働していないようですし、排出源によって二酸化炭素濃度違うのですべてで活用できない可能性があり、これが10年で爆発的に増えるという感じがしませんでした。そういった内容で詳しくやっていきたいと思います。
これからも電気に関しての技術、設備などに関して動画作っていきますので良かったらチャンネル登録お願いします。
・CCSとは
まずはCCSとはですがこちらは全体の仕組みですが、自分が勘違いしていたのは地中に金属容器的なものを埋めてそこに二酸化炭素を入れるのかと思いきや、漏れない遮へい層や二酸化炭素を蓄える貯留層を見つけてそこに二酸化炭素をぶち込むというなかなかトリッキーな発想です。
製油所、発電プラントなどから回収設備に送り地中に圧力をかけてぶち込みます。仕組みとしては単純そうですが深いですしぶち込む際にもエネルギー消費をするのが難点のようです。
続いてこちらは排出源別の二酸化炭素の濃度の図で、単純に二酸化炭素を回収するといっても排出される二酸化炭素濃度に応じてコストが違うようです。当然薄いところから二酸化炭素を抽出しようとするとコストがかかるようでなかなかCCSを調べないとこういう観点で考えなそうな問題点があるようです。
少し気になるのは天然ガスだと二酸化炭素の濃度が低いのでもしかしたらCCSが普及すると石炭火力の方がトータルでパフォーマンスが良いのかもしれません。
続いて自然エネルギー財団から資料を抜粋したいと思います。
現在CCSが稼働しているのはカナダの11.5万キロワットの発電所のみでアメリカにもあったようですが2020年にあった石油暴落で採算が取れなくなり無くなったようです。
こちらはアメリカのCCSの実証プロジェクトの結果ですが完了しているのは1件のみで、この1件が先ほどのアメリカのCCSでしたが2020年になくなったので現在ではこれだけの実証プロジェクトがありながら残っているものがないようです。
・日本では2050年にCCSで1億トン・・
続いて日本では2050年にCCSで1億トンということで、抜粋すると、2022年1月に「CCS 長期ロードマップ検討会」を立ち上げた。経済産業省は「日本の CCS の想定年間貯留量の目安」として、2050 年時点で年間約 1.2~2.4 億トンという数値を示しておりその根拠として示すのは、IEA の描く三つのエネルギーシナリオにおける世界全体のCO2回収・貯留量に、現時点での世界全体に占める日本の CO2排出割合(3.3%)を乗じたという説明である。
ということで2050年に1億トンとなるとかなりの量になりそうですが先ほどの米国のレポートでもわかるように、CCS プロジェクトは計画、開発着手したものの稼働にいたらない案件が相当数存在していますし問題点もあるようで抜粋すると
排出削減技術を評価した IEA の報告書では、「現在の技術による回収率は 85~95%でり、CCS石炭火力からは 100 gCO2/kWh から 140 gCO2/kWh が排出される」としている。85~95%回収されるとしても、5~15%の CO2が排出される。
また、欧州の脱炭素戦略の中では、「90%を超える回収率を達成するのは困難で、非常にコストがかかる。つまり、化石燃料に用いられる CCS は、現在のところ完全な脱炭素化を達成できていないのである」と明確に指摘している。天然ガス火力発電での CCS 回収率に関する研究では、99%の回収を行うと 90%回収の場合の約 2 倍のコストを要するという結果が示されている。
しかし更に問題なのは、現実に稼働している CCS 火力発電所の回収実績が 90%というレベルには遠く及ばない低い水準に留まっていることである。前述のとおり、これまで世界で実現した CCS火力は二つ、米国のペトラノバとカナダのバウンダリーダムである。この二つの実例を見ると、両方とも当初予定していたような 90%程度の CO2回収を実現できず、6~7割程度の回収率にとどまっている。
この理由としては回収した CO2を圧縮する装置のトラブルが上げられています。
ということで2030年には商用運転しないといけなはずですがなかなかハードルが高い気がしてしまいました。ぶち込もうとしている二酸化炭素量が多すぎて本当に入りきるのか、入っても10%程度は排出されるというところからも必要最低限のベースロード電源以外は使い物にならないかもしれません。
・日本に適地がない
続いて日本には適地がないということで、抜粋すると
世界でこれまで実現した商業規模の CCS プロジェクト 31 件のうち、28 件が陸域での貯留であり、このうち 22 件は、枯渇してきた油田で生産量を上げるため、回収した CO2を注入する EOR(Enhanced Oil Recovery:原油増進回収)方式で行われているものである(表 2)。石油増
産という経済的メリットがあって初めて成立する方式だ。
経済産業省は、苫小牧で行った日本初の「CCS 大規模実証試験」で累計圧入量が目標の 30 万トンを3年かけて達成したとその成果を報告し、「いよいよ実現も間近」としている31。しかし、CO2は、「高効率」と称する超々臨界(USC)方式であっても年間約 500 万トン33であるから、苫小牧のプロジェクトは「大規模」といっても、実際に必要な規模からすれば 50 分の1程度に留まる。
日本では陸域に CO2貯留に適した場所がなく、またそもそも EOR に用いることのできる油田もない。このため、経済産業省が貯留場所を見つけようとしているのは、もっぱら海域である。コストが高く、輸送や貯留の技術が確立されていない。つまり、日本での CCS プロジェクトは貯留場所を海域に依存せざるを得ず、EOR も使えないという意味で二重のハンディキャップを負っている。この弱点は経済産業省も率直に認めており、「日本では、EOR が現実的でなく、発電分野においては、比較的分離回収コストも高く、検討されるビジネスモデルは追加で CO2を回収し、帯水層貯留を実施するパターンとなる29」と記載している。
ということであと7年で何百万トンもぶち込める設備が本当にできるのか、経営状態が悪い電力会社がそのリスクを取れるのか少し不安になってしまう内容でした。
・リスク
続いてリスクですがこういったことがあるとのことでリスクが大きそうなものを2つ抜粋しました。一つ目が一番上の項目で、漏れて人体に影響があるということで消化設備でも二酸化炭素で人が死んでいるように二酸化炭素が噴き出ると酸欠で死んでしまうので地震でも問題ないのか少し怖い部分ではあります。
次に地熱などほかの用途へ影響ということで経済産業省は帯水層に二酸化炭素をぶちこむパターンを検討しているようですが温泉、地下水などの流量に大きな影響を与えそうで10年ちょろちょろ出ていたものが数年で大量に出て枯渇するなどになると損害賠償になるので電力会社がこのリスクを背負って事業するのかという問題がありそうです。
詳細はYouTubeでやっているので良かったらご覧ください。
・まとめ
いかがでしたでしょうか、こうやってみるとなんとなくイメージで理解していた部分が多くて実際は非現実的ですし、ヨーロッパが石炭火力廃止で強気に出ているのはここらへんのエビデンスからCCSは商用運転で大きなシェアを取れないと踏んでいるからかもしれません。
自分なんかも石炭火力はCCSあるならこのまま残してもいい気がしていましたが、結論としては数%は良いけど10%以上は厳しいかもしれない気がしてしまいました。
そうなってくると電力会社が持っている石炭火力が負の遺産となりつつあり株価暴落がやっぱりここからきている可能性がありそうです。
今回はこんなかんじで以上となります。
これからも電気に関しての技術、設備などに関して動画作っていきますので良かったらチャンネル登録お願いします。
それでは最後までご視聴いただきありがとうございました。失礼します。
詳細はYouTubeでやっているので良かったらご覧ください。
CCSとはCarbon dioxide Capture and Storageで火力発電の二酸化炭素を地中に蓄える仕組みで、蓄えずに利用するだけだったり、蓄えて利用したりでCCUSやCCUなどがありますが火力の二酸化炭素を大気中に放出する量を減らすための技術です。この技術がどれだけポテンシャルがあるのか調べていきたいと思います。電験でも今後新技術について出題されると思うので良かったらご覧ください。
結論からいうとCCSはいくらかは普及するけれども今でいうと地熱的な地味なポジションになる感じがしました。理由としては今の段階で世界で一機しか稼働していないようですし、排出源によって二酸化炭素濃度違うのですべてで活用できない可能性があり、これが10年で爆発的に増えるという感じがしませんでした。そういった内容で詳しくやっていきたいと思います。
これからも電気に関しての技術、設備などに関して動画作っていきますので良かったらチャンネル登録お願いします。
・CCSとは
まずはCCSとはですがこちらは全体の仕組みですが、自分が勘違いしていたのは地中に金属容器的なものを埋めてそこに二酸化炭素を入れるのかと思いきや、漏れない遮へい層や二酸化炭素を蓄える貯留層を見つけてそこに二酸化炭素をぶち込むというなかなかトリッキーな発想です。
製油所、発電プラントなどから回収設備に送り地中に圧力をかけてぶち込みます。仕組みとしては単純そうですが深いですしぶち込む際にもエネルギー消費をするのが難点のようです。
続いてこちらは排出源別の二酸化炭素の濃度の図で、単純に二酸化炭素を回収するといっても排出される二酸化炭素濃度に応じてコストが違うようです。当然薄いところから二酸化炭素を抽出しようとするとコストがかかるようでなかなかCCSを調べないとこういう観点で考えなそうな問題点があるようです。
少し気になるのは天然ガスだと二酸化炭素の濃度が低いのでもしかしたらCCSが普及すると石炭火力の方がトータルでパフォーマンスが良いのかもしれません。
続いて自然エネルギー財団から資料を抜粋したいと思います。
現在CCSが稼働しているのはカナダの11.5万キロワットの発電所のみでアメリカにもあったようですが2020年にあった石油暴落で採算が取れなくなり無くなったようです。
こちらはアメリカのCCSの実証プロジェクトの結果ですが完了しているのは1件のみで、この1件が先ほどのアメリカのCCSでしたが2020年になくなったので現在ではこれだけの実証プロジェクトがありながら残っているものがないようです。
・日本では2050年にCCSで1億トン・・
続いて日本では2050年にCCSで1億トンということで、抜粋すると、2022年1月に「CCS 長期ロードマップ検討会」を立ち上げた。経済産業省は「日本の CCS の想定年間貯留量の目安」として、2050 年時点で年間約 1.2~2.4 億トンという数値を示しておりその根拠として示すのは、IEA の描く三つのエネルギーシナリオにおける世界全体のCO2回収・貯留量に、現時点での世界全体に占める日本の CO2排出割合(3.3%)を乗じたという説明である。
ということで2050年に1億トンとなるとかなりの量になりそうですが先ほどの米国のレポートでもわかるように、CCS プロジェクトは計画、開発着手したものの稼働にいたらない案件が相当数存在していますし問題点もあるようで抜粋すると
排出削減技術を評価した IEA の報告書では、「現在の技術による回収率は 85~95%でり、CCS石炭火力からは 100 gCO2/kWh から 140 gCO2/kWh が排出される」としている。85~95%回収されるとしても、5~15%の CO2が排出される。
また、欧州の脱炭素戦略の中では、「90%を超える回収率を達成するのは困難で、非常にコストがかかる。つまり、化石燃料に用いられる CCS は、現在のところ完全な脱炭素化を達成できていないのである」と明確に指摘している。天然ガス火力発電での CCS 回収率に関する研究では、99%の回収を行うと 90%回収の場合の約 2 倍のコストを要するという結果が示されている。
しかし更に問題なのは、現実に稼働している CCS 火力発電所の回収実績が 90%というレベルには遠く及ばない低い水準に留まっていることである。前述のとおり、これまで世界で実現した CCS火力は二つ、米国のペトラノバとカナダのバウンダリーダムである。この二つの実例を見ると、両方とも当初予定していたような 90%程度の CO2回収を実現できず、6~7割程度の回収率にとどまっている。
この理由としては回収した CO2を圧縮する装置のトラブルが上げられています。
ということで2030年には商用運転しないといけなはずですがなかなかハードルが高い気がしてしまいました。ぶち込もうとしている二酸化炭素量が多すぎて本当に入りきるのか、入っても10%程度は排出されるというところからも必要最低限のベースロード電源以外は使い物にならないかもしれません。
・日本に適地がない
続いて日本には適地がないということで、抜粋すると
世界でこれまで実現した商業規模の CCS プロジェクト 31 件のうち、28 件が陸域での貯留であり、このうち 22 件は、枯渇してきた油田で生産量を上げるため、回収した CO2を注入する EOR(Enhanced Oil Recovery:原油増進回収)方式で行われているものである(表 2)。石油増
産という経済的メリットがあって初めて成立する方式だ。
経済産業省は、苫小牧で行った日本初の「CCS 大規模実証試験」で累計圧入量が目標の 30 万トンを3年かけて達成したとその成果を報告し、「いよいよ実現も間近」としている31。しかし、CO2は、「高効率」と称する超々臨界(USC)方式であっても年間約 500 万トン33であるから、苫小牧のプロジェクトは「大規模」といっても、実際に必要な規模からすれば 50 分の1程度に留まる。
日本では陸域に CO2貯留に適した場所がなく、またそもそも EOR に用いることのできる油田もない。このため、経済産業省が貯留場所を見つけようとしているのは、もっぱら海域である。コストが高く、輸送や貯留の技術が確立されていない。つまり、日本での CCS プロジェクトは貯留場所を海域に依存せざるを得ず、EOR も使えないという意味で二重のハンディキャップを負っている。この弱点は経済産業省も率直に認めており、「日本では、EOR が現実的でなく、発電分野においては、比較的分離回収コストも高く、検討されるビジネスモデルは追加で CO2を回収し、帯水層貯留を実施するパターンとなる29」と記載している。
ということであと7年で何百万トンもぶち込める設備が本当にできるのか、経営状態が悪い電力会社がそのリスクを取れるのか少し不安になってしまう内容でした。
・リスク
続いてリスクですがこういったことがあるとのことでリスクが大きそうなものを2つ抜粋しました。一つ目が一番上の項目で、漏れて人体に影響があるということで消化設備でも二酸化炭素で人が死んでいるように二酸化炭素が噴き出ると酸欠で死んでしまうので地震でも問題ないのか少し怖い部分ではあります。
次に地熱などほかの用途へ影響ということで経済産業省は帯水層に二酸化炭素をぶちこむパターンを検討しているようですが温泉、地下水などの流量に大きな影響を与えそうで10年ちょろちょろ出ていたものが数年で大量に出て枯渇するなどになると損害賠償になるので電力会社がこのリスクを背負って事業するのかという問題がありそうです。
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・まとめ
いかがでしたでしょうか、こうやってみるとなんとなくイメージで理解していた部分が多くて実際は非現実的ですし、ヨーロッパが石炭火力廃止で強気に出ているのはここらへんのエビデンスからCCSは商用運転で大きなシェアを取れないと踏んでいるからかもしれません。
自分なんかも石炭火力はCCSあるならこのまま残してもいい気がしていましたが、結論としては数%は良いけど10%以上は厳しいかもしれない気がしてしまいました。
そうなってくると電力会社が持っている石炭火力が負の遺産となりつつあり株価暴落がやっぱりここからきている可能性がありそうです。
今回はこんなかんじで以上となります。
これからも電気に関しての技術、設備などに関して動画作っていきますので良かったらチャンネル登録お願いします。
それでは最後までご視聴いただきありがとうございました。失礼します。